新規事業として、農業に参入するか悩んでる。
どんなメリットデメリットがあるのか、過去の成功・失敗事例をまとめて教えてほしいな。
こんな方に向けた記事です。
- 企業の農業参入が増えている背景
- 農業参入のメリットデメリット
- 企業による農業参入の代表事例
- 農業法人設立の際に使える補助金
この記事は農園のWeb活用支援団体ファームコネクトが書いています。
ネット販売の代行、ホームページ制作、クラウドファンディング支援など、農業特化のWeb事業として様々なサービスを展開しています。
野菜で月次売上200万円、とうもろこしで日次売上100万円超えなど、多数の販売実績があり、行政とも提携している組織です。
→ファームコネクトの事例紹介
私たちは新規就農者の支援や、農業法人の立ち上げ支援も行なっております。
ここで得た知見をもとに、企業の農業参入について解説していきますね。
企業の農業参入事例は増えている?
2009年の農地法改正により、企業の農業参入が容易になりました。
その結果、2008年は8,000社ほどだった農地保有適格法人は、2010年には11,000社を超えています。
※2021年に20,000社を超えました。
参考)農林水産省「農地所有適格法人の農業参入の動向」
なぜこれほど農業に参入する企業が多いのか?
次の項からは農業参入のメリットをお伝えしていきます。
企業が農業に参入するメリット
結論、農業に参入するメリットは「売上拡大につながる」「雇用創出につながる」「CSR活動の一環となる」の3点です。
それぞれ解説していきますね。
メリットその1:売上拡大につながる
農業はただ農作物を育てて納めるだけでなく、加工品を開発したり、観光農園にしたり、農園カフェを開いたり、移動販売をしたり…と、さまざまな事業に応用できます。
そのため、(決して簡単ではありませんが)農園経営を軌道に乗せることができれば、大幅な売上拡大が期待できます。
大規模農業法人の中には、年商100億円規模の企業も。
農業を新しい収入源とするだけでなく、既存事業と組み合わせている企業も存在します。
食品メーカーが農作物を自社製品に加工したり、観光業者が自社で観光農園を経営したり、そのアイデアはさまざま。
農業と既存事業の相乗効果によって、売上を伸ばすことができますね。
メリットその2:雇用創出につながる
農業参入について私たちのもとにご相談いただく企業は、福祉や建設関係の会社が多いです。
福祉の会社様からは「障害者雇用を創出したい」、建設会社様からは「不況の煽りを受けたため、社員の働き先をつくりたい」というご意見を頂戴することがあります。
新規事業に取り組むことで雇用を生み出せる点も農業参入のメリットです。
メリットその3:CSR活動の一環となる
農業は、単に食料を生産するだけでなく、自然環境を維持するシステムとして重要な役割を果たします。
また、自然の中で生命に寄り添って行う作業は、心身によい影響を与えるとされています。
そうした農業の特性に着目して、CSR活動に活用している企業もあります。
実際の導入例として、耕作放棄地の解消や雇用創出による地域貢献、営農型太陽光発電の導入による環境・資源への貢献などが挙げられます。
企業が農業に参入するデメリット・課題
魅力的に感じる農業ビジネスですが、「参入企業の8割が赤字」といわれるなど、課題もあります。
ユニクロが農業に参入するも撤退したという事例も。
赤字でなくとも、思うように収益が伸びずに農地を縮小した企業もあり、その中には吉野家、ニチレイといった大企業も含まれます。
農業参入の課題は大別すると以下の3点です。
- 生産体制の確立が難しい
- 膨大な初期費用
- 販路開拓が難しい
デメリット・課題その1:生産体制の確立が難しい
「質の良い」作物を「大量に」生産することは、非常に難しいことです。
知識、経験がものをいう世界ですし、その時々の天候や土壌環境によっても必要な知識が異なりマニュアル化のハードルが高いため、安定生産の仕組みを作りづらいのです。
このハードルをクリアするには、スマート農業を行なうことで、なるべく属人性の低い生産体制を準備する必要があります。
デメリット・課題その2:膨大な初期投資を要する
まったくの素人が農業に参入するのであれば、高い栽培技術を必要としない、スマート農業が好ましいです。
私たちのクライアントにも新規就農者が7名おられますが、5名がスマート農業を用いてトマトやイチゴを栽培、2名が野菜栽培という内訳でして、前者の方が時間に余裕があり、販促に注力できている印象です。
しかしスマート農業には膨大な初期費用が必要で、投資金額の回収に数年スパンの時間を要します。
デメリット・課題その3:販路開拓が難しい
スマート農業で栽培できる作物はまだまだ限られています。
「スマート農業で栽培できる作物が限られている=どの企業もその作物を育てたがる=ライバルが強く、競争が激しい」という状態になっており、販路開拓が困難であったりします。
ファーコネもトマトやイチゴのネット販売支援をしておりますが、他の作物よりも販売の難易度が高く感じます。
一方で、梨やぶどうなど、栽培に手がかかる作物は販売しやすいです。
栽培のしやすさと販路開拓のしやすさはトレードオフの関係にあるように思いますね。
企業の農業ビジネス参入事例
農業参入のメリットデメリットを確認したところで、企業による農業参入事例をご紹介します。
意外な企業が農業事業を展開していて面白いですよ。
企業の農業参入事例その1:ワタミ
居酒屋で有名なワタミグループですが、国内9箇所で農場、牧場を運営しています。
有機栽培に注力しており、JGAP認証も取得。
有機野菜の市場は拡大しつづけており、今後も安定した需要が想定されます。
企業の農業参入事例その2:オリックス
通常の土耕栽培で米を、水耕栽培と呼ばれるスマート農業で葉物野菜を栽培しています。
また、自社の作物はもちろん、他の農園が栽培した農作物を仕入販売する「オリックス・フードサプライ」と呼ばれるグループ企業も。
企業の農業参入事例その3:カゴメ
大手食品、飲料メーカーであるカゴメも農業に参入しています。
長野県にて「カゴメ野菜生活ファーム富士見」という大規模な観光農園を運営。
2022年には、NECと協業で加工用トマトの営農支援会社をポルトガルに設立する旨を発表しています。
企業の農業参入事例その4:NECキャピタルソリューション
他社と共同出資で秋田県に「株式会社みらい共創ファーム秋田」という農業法人を設立。
大型機械を活用した効率的な水稲栽培・タマネギ栽培を行なっており、資本力を活かした大規模な農園を運営しています。
企業の農業参入事例その5:イオン
イオンアグリ創造株式会社という農業法人を所有しています。
全国で10以上の農場を運営しており、いずれもグローバルGAP認定を取得。
農薬量を制限した安心安全な青果を生産しています。
企業の農業参入で使える補助金は?
農業参入の際に使える補助金は「農業法人設立に使える補助金まとめ【農業起業支援】」で述べています。
初期費用が高い農業においては、補助金をいかにうまく活用できるかが非常に重要です。
企業の農業ビジネス参入まとめ
以上、企業の農業ビジネス参入についてでした。
ファームコネクトのお役立ち資料をダウンロードしてくださった方には、企業が農業参入する際のお役立ち情報をLINEでお送りしております。
少しでも興味のある方はぜひお役立ち資料のダウンロードをお願いいたします。