近いうちに農業に携わりたいんだけど、必要な資格や免許はあるのかな。農業経営に詳しい人から、取得しておいた方が良い資格・免許一覧を教えてほしいな。
こんな方に向けた記事です。
- 農業に資格や免許は必要なのか?
- 取得しておくべき資格と免許一覧
この記事は農園のWeb活用支援団体ファームコネクトが書いています。
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今回は、上記の活動を通して多くの農家さんにヒアリングした結果をもとに、農業経営で役立つ資格や免許について解説していきます。
農業に資格や免許は必要なのか?
結論から述べると、必要ありません。
農林水産省によると、農地面積が10アール以上、あるいは、農産物販売金額が年間15万以上の方は「農家」と定義されています。
つまり、この基準を超えてさえいれば農家と名乗れるのです。
しかし、やはり農業経営において取得した方が便利な資格は一定数存在します。
次の項から、役立つ資格をケースごとに紹介していきます。
農業経営をするのに取得しておくべき資格・免許一覧
営農していくうえで必須な資格や免許は特にありません。
しかし、取得しておいた方が便利な資格や免許は一定数存在するので、ここでそれぞれ紹介していきますね。
先に一覧だけ掲載すると、下記の通りです。
農家資格
- 普通自動車免許
- 大型特殊自動車免許(農耕車限定)
- けん引免許(農耕車限定)
- 日本農業技術検定
- 日本農業検定
- 危険物取扱者(乙種第4類)
- ボイラー技士
- 産業用マルチオペレーター技能認定
- 農業簿記検定
- 農業機械士
- 農業機械整備士(国家資格)
- 土壌医検定
- 農薬管理指導士
- 食育インストラクター
- 野菜ソムリエ
- 食の6次産業化プロデューサー
それぞれ詳しく解説していきますね。
農業を始める際に役立つ資格・免許:農家資格
先ほど、農地面積が10アール以上、あるいは、農産物販売金額が年間15万以上の方は「農家」だとお伝えしましたが、この農地を購入、あるいは借りるのに必要なのが「農家資格」です。
農家資格は市町村の農業委員会から得られるもので、営農計画書などを提出して市町村の農地基本台帳に登録されなくてはならないので注意が必要です。
※農家資格を得る手続きは各自治体により異なります。
農業の資格・免許【実務編】
実務で役立つ資格・免許をご紹介します。
普通自動車免許
間違いなく取得しておくべき免許。
農家さんで自動車免許を持っていない方は会ったことがありません。
狭い道を通ったり、農機具などを運ぶことが頻繁にあるため、軽トラを使っている農家さんが多いです。
軽トラはマニュアル車が多いので、マニュアルの免許を取っておくと捗るでしょう。
大型特殊自動車免許(農耕車限定)
大規模な露地栽培をしている農家さんが取得しておくべき免許です。
露地栽培の場合はトラクターなどの大型機械を使って、水・肥料を撒くことが多いです。
横幅が1.7M以下のトラクターを運転する場合は普通免許で大丈夫なのですが、それ以上の大型トラクターを運転する場合は大型特殊自動車免許が必要となってきます。
普通自動車免許を持っていれば一日で取れるので、将来的に露地栽培をしようと考えている方は取得しておくことをオススメします。
免許の詳細は農林水産省HPをご覧ください。
けん引免許(農耕車限定)
トラクターや大型コンバインなどの農業機械をけん引するときには必要な免許です。
業者にお願いしてもいいのですが、値段が高く、毎回お願いすると高額になってしまうことも。
普通自動車免許を持っていれば即日取得できるプランもあるので、お近くの教習所に確認してみてください。
日本農業技術検定
農業を学んでいる学生・携わっている方に特化した資格。
自分に今どれだけ農業知識があり、農業技術の習得ができているかを客観的に判断できる試験です。
農林水産省や文部科学省から後援されていたり、農業法人でも採用において待遇されるところもあるほど有名な資格なので取得して損はありません。
→ 日本農業技術検定詳細
日本農業検定
農業や、食に関する基礎的な知識を習得するための検定。対象も小学生から一般の方までと幅広いです。
「食」について多角的に学びたい方にはおすすめの資格です。
→ 日本農業検定HP
危険物取扱者(乙種第4類)
危険物(ガソリン、灯油や軽油)を扱う場合に取得しておかなければならない免許です。
一般的にガソリンスタンドといった施設には必ず、この免許を持っている人がいます。
農業でいうと、温度・湿度管理するために、ガソリンを使用した施設で作物の栽培をする場合は必要になってきます。
詳細→ 一般社団法人消防試験研究センター
ボイラー技士
ハウス栽培などの施設栽培においてボイラーを焚く際は必要です。
ボイラーは重油を扱うことが多いので、一歩間違えれば大規模な事故が起きてしまう可能性が。
免許の詳細は、公益社団法人安全衛生技術試験協会HPをご覧ください。
産業用マルチオペレーター技能認定
農薬散布にドローンや無人ヘリを使う場合に必要な資格。
農薬散布で使用するドローンの機種ごとに資格を取得しなくてはならないほか、資格を取得後にさらに国土交通省の許可が必須となる点に注意です。
将来的に大規模的に農業をしたい、スマート農業に携わりたいという方におすすめの資格です。
この資格についてはドローンおしごとさんが分かりやすく解説しています。
農業簿記検定
農業だけの特別な会計が農業簿記です。
会計を疎かにする人も多いですが、ただでさえ利益率が低めな農業は、いかに無駄を省いて利益率を高めるかが重要です。
税理士を雇うとなると費用もかかるので、ぜひご自身でも勉強してみてください。
→農業簿記検定
ちなみに、農業簿記に関するアプリは「農業簿記対応のアプリ・ソフト5選」で紹介しています。
農業機械士
農業機械士は、農業機械に関する安全管理、基本的な操作、構造などを総合的に学ぶ公的資格。
農業で扱う機械は多岐にわたります。そんな機械を安全に、正しく使用していくのに役立ちます。
農業機械は高額なので、ぜひ本資格で学び少しでも長く使い続けていきましょう。
※各自治体によって公式サイトが異なります。
土壌医検定
土づくりは農業に欠かせないものですし、最重要といっても過言ではありませんよね。
そんな「土づくり」に関する資格が土壌医検定です。
3級:土づくりアドバイザー→2級:土づくりマスター→1級:土壌医となっており、1級に受かるためには5年以上の農業経験が必要など難易度の高い資格です。
しかし「土づくりがうまいことの証明=技術の証明」にもなるので、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょう?
→日本土壌協会
農薬管理指導士
都道府県ごとに実施されている公的資格。
昨今は農薬をはじめとする食の安全に敏感になっている消費者も多いので、農薬について勉強することは時代に則していると言えるでしょう。
公的な資格なので信用度も高いです。ぜひ各自治体のホームページからチェックしてみてくださいね。
農業の資格・免許【直販編】
収穫した作物を消費者に直接販売する際に役立つ資格をご紹介します。
食育インストラクター
近年、「食育」という言葉が各種メディアで話題になっています。
政府広報オンラインでは、食育について以下のように定義しています。
「食育」とは、様々な経験を通じて、「食」に関する知識と、バランスの良い「食」を選択する力を身に付け、健全な食生活を実践できる力を育むことです。
「食」に深く関わる農家さんとしては、なかなか無視できない部分。
実際、幼稚園のサツマイモ掘り体験やフルーツ狩り体験に協力することで、食育に携わっている農家さんもいらっしゃいます。
食育インストラクター資格を持っていることをHPやSNSでアピールすることで、より安心感を与えることができるようになりますし、ブランディングにもなるでしょう。
→ NPO日本食育インストラクター協会
野菜ソムリエ
作物の知識を身に付け、その魅力・価値を社会に広めることができるようになるための資格です。
この資格を持っている芸能人も多く、有名な資格なので聞いたことがあるかもしれません。
農家さんがこの資格を持つことで、SNSやHPにて作物の魅力をキレ良く発信できるようになるというメリットがあります。
もちろん「野菜ソムリエが作っている野菜」というブランディングにも。他の農園との差別化につながるでしょう。
→野菜ソムリエ協会
食の6次産業化プロデューサー(愛称:食Pro.)
食の6次産業化を担う人材の認定・育成を目的とした資格。
6次産業化を活用して作物に付加価値をつけ、利益を上げていきたい方に向けたものです。
資格を取得すると、名刺にロゴを入れたりHPに記載できるようになり、消費者からの安心感が高まるほか、飲食店とも取引しやすくなるという利点があります。
→ 食の6次産業化プロデューサー
農業経営で取得すべき資格・免許まとめ
以上、農業で取るべき資格及び免許でした。
実務レベルで必須なもの〜ブランディングを後押しするものまで、様々な資格を紹介してきました。
これらの資格を取得することで、就農後に捗ること間違いなしですし、農業法人に採用される可能性も高まるので、取得を考えてみてはいかがでしょうか?
本記事が少しでも参考になれば幸いです。