農園の収益を伸ばすために、何かしら認証を取得しようか悩んでる。
JGAP認証というものがあるらしいけど、取得したらメリットあるのかな。
ついでに取得の流れも教えてほしい。
こんな方に向けた記事です。
- 認証制度にはどんなものがある?
- JGAP認証とは?
- JGAP認証を取得するメリットデメリット
- 取得の流れ
この記事は農園のWeb活用支援団体ファームコネクトが書いています。
ネット販売の代行、ホームページ制作、クラウドファンディング支援など、農業特化のWeb事業として様々なサービスを展開しています。
野菜で月次売上200万円、とうもろこしで日次売上100万円超えなど、多数の販売実績があり、行政とも提携している組織です。
→ファームコネクトの事例紹介
私たちは減農薬作物を扱う、エコチョクという通販サイトも運営しています。
このサイトを運営する中で、JGAP認証を取得されているレモン農園とも関わりました。
今回は、実際JGAP認証を取得することでどれだけメリットがあるのか、取得の流れなどを解説していきます。
認証制度にはどんなものがある?
2023年現在、農業(耕種)の主な認証制度には、これらのものがあります。
※エコファーマーは今年に廃止予定。
GAPについては後述しますが、エコファーマー認定・特別栽培農産物・有機JAS認証の概要は下記の通りです。
1999年に制定された「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」に基づき、堆肥の適正量を守り(土づくり)、化学肥料・農薬の使用を制限して環境に配慮した農業計画を都道府県知事に提出し、認定を受けた農業者のことです。
GAP認証とは?
GAP認証は、以下の3つに分けられます。
- グローバルGAP認証
- アジアGAP認証
- JGAP認証
グローバルGAP認証について
G.A.P.(ギャップ)とは、GOOD(適正な)、AGRICULTURAL(農業の)、PRACTICES(実践)のこと。
GLOBAL G.A.P.(グローバルギャップ)認証とは、世界120ヵ国以上で活用されている国際基準を指します。
食品安全、労働環境、環境保全に配慮した「持続的な生産活動」を実践する優良企業に与えられる世界共通ブランドで、取引先の信頼性向上や企業価値向上に貢献してくれますよ。
アジアGAP認証について
後に紹介するJGAPを国際的に展開させた認証で、
JGAPの内容を包含しつつ、国際的な要求も考慮した基準が定められています。
GFSI(Global Food Safety Initiative)によってベンチマーク規格のひとつとして承認されており、今後アジア圏におけるGAP認証の主流になることが期待されているスキームです。
JGAP認証とは?
「Japan Good Agricultural Practice」の略で、日本の法律や生産環境、社会環境を考慮し、農場運営・食品安全・環境保全・労働安全・人権・福祉の観点から適切な農場運営の基準を定めたもの。
2005年に設立され、現在、日本でもっとも普及率の高いGAP認証制度です。
JGAP認証を取得するメリット
すこし難しそうに感じるJGAP認証ですが、取得によるメリットがしっかりと存在します。
JGAP認証を取得するメリット①:販売先からの信頼確保
JGAP認証を取得すると、信頼できる農場であることをアピールできます。
認証基準の開発には多くの農産物バイヤー企業も参加しており、
JGAPの基準や認証制度の信頼性は高く評価されています。
GAPパートナーには国内大手チェーンをはじめさまざまな事業者が登録されているので、認証を取得することで販路拡大にも繋がりますよ。
JGAP認証を取得するメリット②:農場管理の効率化
JGAPでは、農業生産の過程や作物の管理にまつわる情報の記録が推奨されており、
また、JGAP団体認証の技術により、その効率性を高めることができます。
記録データに基づいて改善点などを把握することもできるので、よりよい農業生産にも役立ちますね。
JGAP認証を取得するメリット③:農業経営のリスク低減
適切な農場管理の導入により、農作物の安全性向上・労働事故防止など、農業経営のリスクを低減することができます。
また、認証取得のために従業員全員でリスク管理に取り組むことで当事者意識が高まり、従業員の自主性や責任感の向上に繋がったというデータもありますよ。
JGAP認証を取得するデメリット
JGAP認証取得の唯一のデメリットは、「費用がかかる」こと。
個々の経営体で認証を取得する「個別認証」の場合、
認証の種類によって約10〜44万円の審査料+審査員の旅費を実費で支払う必要があります。
複数の経営体が集まって共同で認証を取得する「団体認証」では費用負担こそ減るものの、取得後の更新に料金がかかります。
補助金を活用することで経費を抑えることができるので、
取得の際は農林水産省のホームページを確認することをおすすめします。
JGAP認証を取得するには?
JGAP認証では、個人農家や農業生産法人など、ひとつの経営団体が受ける「個人認証」と、
複数の農業経営体が集まった組織や、複数の農場を管理している企業が受ける「団体認証」が用意されています。
認証までのステップが異なりますので、注意してくださいね。
JGAP認証を取得するには?〜個人認証の場合〜
認証取得のために必要な条件を確認し、できている部分とできていない部分を把握します。
下記の手順を繰り返しながら、農場管理の改善を図ります。
審査から3ヶ月以上前にスタートするのが理想的です。
1:農場内の責任分担の明確化
2:生産環境の確認とリスク検討
3:「農場管理の作業手順」作成
4:ルールの周知徹底と従業員教育
5:記録と検証と自己点検
審査費用は、農場規模や作物数などによって異なります。
各認証機関に見積もりを取った上で、審査の申し込みをおこなうとよいですね。
管理点をすべて審査され、それぞれ「適合」「不適合」「該当外」に分類されます。
審査から4週間以内に不適合となった項目を改善し、是正報告書を認証機関へ送付します。
認証機関が判定をおこない、合格基準を満たしていればJGAP認証書が与えられます。
JGAP認証を取得するには?〜団体認証の場合〜
現時点において団体で共有しているルールを確認します。
認証取得に必要な条件に対し、団体事務局と各農場で役割分担をおこないます。
団体・農場管理マニュアルの構成を決定し、JGAP管理点との対比表を作成します。
STEP1で確認したルールを基準に合うように変更・新規作成します。
STEP3で作成したマニュアルをもとに、下記の手順を繰り返しながら運営を改善します。
審査から3ヶ月以上前に開始し、帳票を揃えて運営の記録もおこなうようにします。
1:団体・農場管理マニュアルの配布・実行・周知徹底
2:内部監査計画と準備(内部監査員・内部監査補佐役の選定、内部監査チェックリストの作成、監査の目揃い)
3:内部監査の実施(農場・団体事務局)
4:内部監査指摘項目の是正
5:是正の確認
審査費用は団体規模や品目数によって異なります。
各認証機関に見積もりをとり、認証機関を選ぶことをおすすめします。
事務局と構成農場の審査がおこなわれ、
管理点それぞれが「適合」「不適合」「該当外」のいずれかに決定されます。
構成農場の審査は農家数の平方根で小数点を切り上げた数以上のサンプリングとなりますので注意してくださいね。
審査後4週間以内に不適合項目を改善し、是正報告書を認証機関へ送付します。
認証機関が判定をおこない、合格基準を満たした団体に認証書が与えられます。
JGAP認証まとめ
以上、JGAP認証についてでした。
運営改善にかかる時間や費用負担こそありますが、認証取得によるメリットは多くあると言えますね!
JGAP認証の取得に悩んでいる方の助けとなれば幸いです。
それでは、最後までお読みいただき誠にありがとうございました。