農業関連のクラウドファンディングを実施して資金を集めようと思うけど、ノウハウがなくて困ってる。
成功事例から学びたいし、成功方法が知りたいな。
こんな方に向けた記事です。
- そもそもクラウドファンディングとは?
- 農業クラウドファンディングの成功事例
- クラウドファンディングの成功方法
- クラウドファンディングの始め方
このサイトは農園のWeb活用支援団体ファームコネクトが運営しています。
ネット販売の代行、ホームページ制作、クラウドファンディング支援など、農業特化のWeb事業として様々なサービスを展開。
野菜で月次売上200万円、とうもろこしで日次売上100万円超えなど、多数の販売実績があり、行政とも提携している組織です。
→ファームコネクトの事例紹介
→ファームコネクトのクラウドファンディング支援サービス
本記事の信頼性
本記事は、前職でクラウドファンディング事業を担当し、1プロジェクトで1億円以上の支援金額を集めた実績がある村瀬が執筆しております。
ファームコネクト創業後も、2度にわたって農園のクラウドファンディングをサポートして、いずれも目標の300%以上を調達しました。
今回は、農業クラウドファンディングの成功事例を紹介しつつ、具体的な成功方法も解説したいと思います。
それでは参りましょう!
そもそもクラウドファンディングとは?
概要
英語のクラウド(CROWD)とファンディング(FOUNDING)の造語で、インターネットを活用して資金を集める仕組みのことです。
日本では2016年ごろから注目を浴び始め、マクアケやREADYFOR、CAMPFIREといったクラウドファンディングサイトが有名です。
もともとクラウドファンディングは、いわゆる「募金」を目的とする傾向にありましたが(寄付型クラウドファンディング)、
今では通常の通販サイトと同じように「お金を出して、モノ・サービス・体験(返礼品)を買ってもらう」という考え方が浸透しています。(購入型クラウドファンディング)
クラウドファンディングのメリット
ほとんどのクラファンサイトが「実施は無料。プロジェクト終了時に、集めた金額の一部(12~20%)を手数料として支払う」形態。
つまり、プロジェクトに際してお金がマイナスになることはないので、リスクはゼロです。
クラウドファンディングのサイトは多くの人に見られる媒体なので、そこにプロジェクトを掲載することで、自社の商品やサービスをたくさんの人に知ってもらえることが大きなメリットです。
実際は十分な資金があるけど、「PRにつなげたい」「商品の需要があるかどうかを知りたい」といった理由でクラウドファンディングを実施する企業も増えています。
クラファンのデメリット
リスクなしで商品・サービスのPRができる魅力的なサービスがクラウドファンディングですが、デメリットも存在します。
それが時間・労力がかかること、思いどおりに資金を集めることがむずかしいことの2点。
クラウドファンディングは、プロジェクトを出稿して終わりではなく、そこから自身で広告宣伝を行わないと十分な支援を得られません。
特に近ごろはプロジェクトを出稿する業者が多いので競争が激しく、目標金額を達成できていない方が大半です。(達成率は平均30%と言われています)
事前にしっかり成功事例を研究したり、クラウドファンディングについて学んでおくことが大切ですね。
農業クラウドファンディングの成功事例
ここでは、農業クラウドファンディングの成功事例をお伝えしていきます。
なにごとも成功するには「うまくいっている人を真似する」のがもっとも簡単ですし確実です。
ぜひここで紹介する事例を参考にしてみてください。
農業クラウドファンディング成功事例その1:阿部梨園さま
「東大卒、農家の右腕になる」という書籍も執筆している、農園コンサルタント佐川さんが実施したプロジェクト。
自身の農園経営に関する知見をまとめた生産者向けサイト・コミュニティを作るというプロジェクトです。
「農家さん向け」という、他のプロジェクトと比較して小さいマーケットに対して、これだけ多くの支援を集めたのは圧巻の一言。
著書によると、プレスリリースを積極的に行ったほか、知り合いに連絡して回ったり、泥臭い努力を最後まで徹底したとのこと。
プロジェクトページも、他のプロジェクトと比較してもかなり練り込まれており参考になります。
ページを見ると、生産者向けのサービスというよりも「阿部梨園の梨セット」がもっとも購入されているので、農業関係者以外の一般ユーザーをうまく巻き込んだことが伺えます。
クラウドファンディングのノウハウが公開されている佐川さんの著書は下記から購入できます。
農業クラウドファンディング成功事例その2:横江青果さま
「若手フルーツ農家が集まって農業のイメージを変える」プロジェクト。
シンプルかつ応援したくなるコンセプトは大変参考になります。
プロジェクトページはシンプルながら動画が埋め込まれていたり、生産者の写真が多めだったり人肌感じるストーリーが感じられます。
返礼品を果物にすると単価が高くて金額が集まりやすいほか、単純に「欲しい」と思ってもらいやすいのでおすすめです。
農業クラウドファンディング成功事例その3:芳蔵園さま
ファームコネクトがサポートしたプロジェクト。
「蜜症」という病気で廃棄となってしまった豊水梨をドライフルーツにすることで、廃棄を減らそうという試みです。
商品単価が低いものの初日で目標金額の30万円をクリアし、最終的には102万円を調達しました。
準備期間・プロジェクトの実施期間が短かったこと、廃棄梨(原材料)の量が限られていたこともあり、SNS等での宣伝は行いませんでしたが、プレスリリースによって大手新聞社に取り上げられたことからたくさんの支援が集まりました。
このプロジェクトのあと、ドライフルーツは地元のセブンイレブンでの取り扱いも開始しましたね。
最小限の労力で最大限の成果を創出した好例だと思います。
コンセプトはもちろん、返礼品のラインナップやそれぞれの販売数量までこだわっているのでぜひプロジェクトページをチェックしてみてくださいね。
農業クラウドファンディング成功事例その4:芳蔵園さま②
芳蔵園さまが地元の酒造メーカーと協力して、廃棄梨を使った梨シードルを開発する…というプロジェクトを実施しました。
今回もファームコネクトがプロジェクトをサポート。
このプロジェクトもSNS等での集客は行わなかったのですが、プレスリリースによって150万円を集めることができ、周囲の梨農園から廃棄梨を仕入れる事態に。
梨シードルはふるさと納税の返礼品にも起用されました。
プロジェクトページはこちらからご覧いただけます。
農業クラウドファンディング成功方法
いくつか成功の秘訣がありますが、ここでは特に重要な5つのエッセンスをご紹介しますね。
農業クラウドファンディング成功法その1:応援したくなるストーリーを用意する
クラウドファンディングはその構造上、お金を支払ってもらうには「応援の気持ち」を喚起する必要があります。
そしてそのために必須なのが「ストーリー」です。
例えば、以下の文章だとどちらが応援したくなりますか?
例1)このたび梨に「蜜症」という現象が生じて売り物にならないので、加工販売するための資金が必要となりました。応援してください!
例2)このたび梨に「蜜症」という現象が生じてしまいました。1年かけて大切に大切に育ててきた梨。それがこのような惨状となってしまい家族一同本当に悲しんでいます。蜜症は「蜜が過剰」なことから生じる病気です。そんな過剰な蜜をなんとか利用できないか…。悩みに悩んで思いついたのが「梨のドライフルーツ」です。「梨の甘み」をググッと凝縮させた結晶をいかがですか?プロジェクトが成功したら、周囲の梨農家の廃棄梨も活用することで、周りの生産者も助けていきたいです。
簡易的ではありますが、おそらく2の方が応援したくなると思います。
このような「想い」の部分をストーリーにのせて人の感情を動かすことが要求されます。
また、ストーリーで大切なのが「社会貢献の要素を入れる」ことです。
例えば上の例だと「もしこのプロジェクトが成功したら、他の梨農家も助けたい」の部分が社会貢献です。
「新規就農するのでお金ください」という利己的なプロジェクトは応援されないので注意です。
なにかしら社会貢献の側面を用意し、それを分かりやすく訴求していくことが要求されます。
農業クラウドファンディング成功法その2:返礼品に注力する
応援の気持ちだけではお金を払ってもらえません。「ストーリー」「魅力的な商品」この2つが不可欠なのです
また、支援してくれた人に魅力的な返礼品を届けることができればそのまま農園のファンになってくれて、クラファン終了後も作物を買いつづけてくれる可能性が高いです。
せっかく苦労してクラウドファンディングをするのですから、そこで獲得したお客さまはがっちり掴んでおきたいところ。
そのためにも魅力的な返礼品を用意しましょう。
農業クラウドファンディング成功法その3:プロジェクトページを魅力的にする
クラウドファンディングの返礼品・ストーリーをどう表現するかもポイント。
ページの見え方・デザインや文章の構成など、考慮しなければならないポイントは多々あります。
ページを隅々までしっかり読む人は少ないので、大切な部分は画像・見出しでしっかり訴求していきたいところです。
(画像、見出しだけで内容がわかるとベストです)
いろんな商品の販売ページを見てその構成を真似すると良いですよ。
ちなみに商品販売ページは「ランディングページ」と言います。
「ランディングページ 参考」で検索すると良い商品販売ページが出てくるので、ぜひ参考にしてみてください。
農業クラウドファンディング成功法その4:メディアを活用する
どれだけ良いストーリーや素晴らしい商品を作ったとしても、知ってもらえなければ誰にも支援してもらえません。
クラウドファンディングサイトにも集客力がありますが、如何せんライバルが多すぎます。
そのため、メディアに取り上げられることでプロジェクトを周知することが必須です。
メディア掲載されることで信頼性にも繋がります。
農業クラウドファンディング成功法その5:最初の1週間に特に注力する
クラウドファンディングはいかに「盛り上がってる感」「お祭り感」を出せるかが大切です。
「人は人気なものを魅力的に感じる」という心理があるので、最初のうちにたくさん資金を集めることで、よりプロジェクトが盛り上がっていきます。
逆に最初の段階であまり盛り上がらないと「不人気感」が出て、さらに盛り上がらないという悪循環に。
プロジェクト期間全体を通して努力する必要がありますが、最初の1週間は特に努力すべきでしょう。
農業クラウドファンディングの流れ
ここからはクラウドファンディングの流れをお伝えします。
プロジェクトスタート前
- 企画および立案をする(ストーリー、返礼品を考える)
- クラウドファンディングサイトを選択する
- サイトにて申し込みをして担当者と繋がる
- デザイン(写真撮影)、ページ設計、文章作成
- 担当者からフィードバックをもらい修正→完成させる
プロジェクトスタート後
- 広告宣伝(SNS、プレスリリース、広告配信、チラシ、メール等)
- お知らせを積極的に投稿する
プロジェクト終了後
- 返礼品の送付
- お客さま対応
以上の流れでクラウドファンディングを行うことが出来ます。
クラウドファンディングサイトは「マクアケ」「CAMPFIRE」「READYFOR」が特に集客力があるのでおすすめです。
農業クラウドファンディング成功事例・成功方法まとめ
農家さんがクラウドファンディングに挑戦する際に重要な点を紹介していきました。
クラウドファンディングは、ポイントをしっかり押さえ、成功の秘訣を守れば、失敗の可能性を限りなく下げられます。
ぜひ本記事を参考にクラウドファンディングに挑戦してみてくださいね。